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椎村 祐樹

久留米大学 分子生命科学研究所

遺伝情報研究部門 助教

略歴

平成26年(2014年) 日本学術振興会 特別研究員 (DC2)

平成27年(2015年) 久留米大学大学院 医学研究科 博士課程 修了

平成28年(2016年) 京都大学大学院 医学研究科 特定研究員

平成29年(2017年) 久留米大学 分子生命科学研究所 助教 (現職)

平成29年(2017年) 京都大学大学院 医学研究科 客員研究員 (現職)

令和2年 (2020年) スタンフォード大学医学部 客員研究員

グレリン受容体のリガンド認識機構の構造基盤

この度は、映えある高峰譲吉研究奨励賞を授与いただき、光栄に存じます。

グレリンは、Growth-Hormone Secretagogue Receptor (グレリン受容体) の内因性リガンドとして発見されたペプチドホルモンです。グレリンの生理作用は、成長ホルモンの放出促進や摂食行動の亢進といった中枢作用のほか、血圧効果や心血管保護などの末梢作用が広く知られています。このように多彩な生理作用を示すグレリンですが、その活性化には3番目のセリン残基へのオクタン酸の修飾が必須です。このように活性化に脂肪酸の修飾を必須とするホルモンはこれまでに見つかっておらず、グレリンの大きな特徴と言えます。つまり、グレリン受容体は、グレリンの脂肪酸修飾の有無を厳密に識別しているわけですが、その分子機構はこれまで知られていませんでした。私たちはこの分子機構を明らかにするために、X線結晶構造解析法を用いてアンタゴニストが結合したグレリン受容体の構造を明らかにしました。その結果、グレリン受容体のリガンド結合ポケットが二つに分かれた特徴的な構造をしていることが分かりました (shiimura et.al. Nat. Commun. 2020)。私たちの研究を皮切りに現在では、活性型、不活性型の合わせて7つのフォームのグレリン受容体構造が決定されています。さらに蓄積された構造情報から、Bifurcated pocketのうち大きいポケットにグレリンのペプチド鎖が、小さいポケットにオクタン酸が配位することなどが明らかになっています。

本講演では、私たちが決定したグレリン受容体構造を中心に、グレリン受容体構造性研究の最新の知見について紹介いたします。

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