June 7 th Key Note LectureS
演者紹介・抄録
マウス生体内におけるエネルギー動態の可視化
国立循環器病センター 研究所 研究推進支援部 特任部長 山本正道
要旨:ATP は全ての真核生物において種々の酵素反応や筋肉、細胞移動などの力学反応など様々な生物学的仕事に直接利用される。そのため、ATP は全ての生物に共通する「細胞のエネルギー通貨」とばれている。近年、メタボローム解析法や質量分析法が発展する事で、細胞や個体における一定の集団内でのエネルギー代謝状態や ATP 代謝状態の理解が進んできているが、個体内部の 1 細胞レベルでの状態や経時的な変化は全く不明である。これを解明するため、マウス生体内・全身でのエネルギー代謝状態や ATP 代謝の挙動を 1 細胞レベルで計測できるシステムを世界で初めて開発した。これを用いることで、個体から臓器全体で選択するエネルギー戦略や病態時に生じるエネルギー低下、亢進などを計測し、様々な現象との関連を検討している。最近は病態発症の早期変化マーカーとしての有用性を検討しているので、その紹介もしたい。
略歴:
2004年 大阪大学大学院医学研究科生体制御医学講座(博士課程)(濱田博司研究室)修了
2004年 Samuel Lunenfeld Research Institute, Toronto (Dr. Janet Rossant lab) Visiting Scientist
2005年 大阪大学大学院生命機能研究科濱田博司研究室 助教
2008年 武田薬品工業株式会社 医薬研究本部 創薬研究所 研究員
2011年 群馬大学 先端科学研究指導者育成ユニット テニュアトラック助教(独立)
2014年 科学技術振興機構 さきがけ研究員
2015年 京都大学大学院医学研究科 特任講師
2018年 京都大学大学院医学研究科 特定准教授
2020年 国立循環器病センター 研究所 研究推進支援部 特任部長